世界と心の仕組み

人の心の中には心理的エネルギーが渦巻いている。そのエネルギーの質には恒常性がある。

暗い人は暗い質のエネルギーを発し続ける傾向があり、明るい人は明るい質のエネルギーを発し続ける傾向がある。

人が心の中に持っている心理的エネルギーは、それが明るいものであっても、暗いものであっても外界に投影され、しばらくのタイムラグののちに、肉眼に捉えることのできる物質的体験となってその人の元に返ってくる。その体験から人は何かしらの心理的エネルギーを得る。

暗い心理的エネルギーから生じた物理的体験は、その人にとってネガティブな意味合いを持つ暗い体験として解釈されがちである。そのように解釈された体験は、その人の暗い心理的エネルギーを強化する。

このように、暗い物理的体験と暗い心理的エネルギーが相互にハウリングを起こしたとき、その人の世界は暗い状態に固定され、そこで恒常性を保って維持される。

『心を入れ替えて、明るい性質を自分の中に増やそう、そして明るい世界を自分の身の回りに生み出そう』という決意によって、暗い世界を明るいものに変えてゆくことは可能である。

しかし、『心を入れ替える』という行為は、瞬時にできることではない。人によっては何年もかかる。

なぜなら人の心とはとてつもなく広く深いものだからである。そして人は通常、自分の心の領域のごく表面しか認識できていない。

『心を入れ替える』には、心の未認識領域へと自分の知覚を広げていく必要がある。そして、そこにある暗いエネルギーを、明るいエネルギーに入れ替えるという作業を行う必要がある。その作業は柔軟体操のように、ある種の痛みを伴うかもしれない。

ゆとりについて

ところで、心に取り入れるべき明るいエネルギーとは、どのようなものだろうか?

さまざまな性質の明るいエネルギーが考えられる。『安心感』『豊かさ』『達成感』『信頼』などなど。

今日は特に『ゆとり』について焦点を当ててみよう。

『ゆとり』とは『焦り』の対極にあるものである。『ゆとり』とは自由に使うことのできる、空間的、時間的、物質的リソースである。また、それら豊かなリソースが存在し、自分に与えられることへの信頼である。『ゆとり』とは、今ここにただ存在していることへの肯定から生じる。

『ゆとり』を心の中に増やすことで、それはしばしのタイムラグののちに、外界に物質的体験となって現れる。

『ゆとり』はこの世で楽に生きるために大いに役立つ心理的エネルギーである。なぜならそれは、ゆとりある物質的体験をやがて外界に生み出すからである。心の中のゆとり感は、やがて、時間的にゆとりのある生活、物質的にゆとりある生活を生み出す。

また、『ゆとり』は、心の成長に役立つ心理的エネルギーである。なぜなら『ゆとり』あるところ、つまり余裕のあるスペースの中に、新たな心理的エネルギーや新鮮な体験が吹き込まれるからである。

ゆとりを増やす

たくさんのメリットを持つ『ゆとり』を心の中に増やすには、一体どうしたらいいだろうか?

それには心理的な方法と、物理的な方法のふたつが考えられる。心理的な方法とは、心の中にダイレクトに『ゆとり感』をジェネレートする方法である。

たとえばそれは、深い瞑想の中で、心の中にある焦り感を消滅させ、その代わりに、ゆとり感を心の中に呼び込むという手法である。

このような手法が、ゆとり感を増やすための、もっとも純粋に心理的な手法だとして、ここから少しずつ物質的な手法に近づいていくことができる。

たとえば深呼吸し、心の中で、ゆとりある体験のイメージを想像することで、心の中にゆとり感を増やすことができる。

これは先ほどの、『深い瞑想』を用いた純瞑想的ワークに比べ、より物質的なワークである。なぜなら呼吸という肉体的体験を利用しているところや、イメージという、形態を持った知覚対象を利用しているからだ。

純粋な無形態の瞑想の中で、ゆとり感についての本質的なエネルギーをダイレクトにジェネレートするという最初のワークがあまりに抽象的すぎて難しい場合は、このような、呼吸やイメージを用いた、より具体的なワークによって、ゆとり感を増やすことが可能である。

しかしこの呼吸やイメージを使ったワークもまだまだ瞑想的であり、なれない人にとっては難しいかもしれない。その場合は、さらにいくらでも、物質的体験に寄った、具体的、肉体的なゆとり増幅ワークを考えることができる。

ゆとり感を生み出すための大きな効果を持った物質的ワークといえば、いわゆるひとつの断捨離が思い浮かぶ。

断捨離、つまりいらないものを断って捨てて、それから離れれば、心の内と外にゆとりが生まれる。その、きれいになった、清々しい、スペースの沢山ある空間の中で、ゆとりを感じよう。そして深呼吸しよう。

我々の意識は、本当は、無限にゆとりある存在だ。なぜならそれは永遠の存在だからである。

そのような、我々の本質の中にある無際限のゆとりの欠片を、日々の生活の中に、何らかの手段で、生みだして、それを心で感じてみよう。

あなたの心の中で感じられたゆとりは、あなたの心に広がって、やがてそれはあなたの周囲に、そして世界に、少しずつ、しかし大いなるゆとりを生み出していく。