スピリチュアル・アウェイクニングについて

スピリチュアル・アウェイクニング、日本語で書くと霊的覚醒である。

それを体験する者の内面ではかつてない宇宙的なドラマが持ち上がる。

そのドラマは客観的に激しい動きを見せる時もあるが、やがて内面で消化されるようになっていく。なぜなら、あらゆるドラマを内面で急速に消化する力こそが、霊的覚醒によって得られるギフトのひとつだからである。

霊的覚醒、それは個人的レベルと、集団的レベルの二つのレイヤーがある。

個人的レベルでの目覚めは、まっすぐに何かの道を求めたすえに生じがちである。それが生じたあとは直感と理性的な戦略を総動員して、目覚めの中で得た洞察を、現実生活の中に適応させてゆき、自分の中に定着させる必要がある。

啓示の中で得たアイデアは、何かしらの形に具体化しなければならない。でなければ、それはそんなには役立たないだろう。

霊的覚醒は『自分の道』を求めた末に起こる。それは自分が情熱を感じることをまっすぐに求めていくことで自然に生じる。

スピリチュアル・アウェイクニング、霊的覚醒は、求めれば得られるものではある。しかしそれをちらりと垣間見たあとで、さらにそれを自分の手につかみ、自分のものにすることは、もしかしたら恐怖を乗り越える必要があるかもしれない。

覚醒するとは、今までの物の見方が、いわば眠りの中から見た、限定された観点であると認識することである。覚醒するとは、自分が夢の中で今まさに寝ていると認識することである。

そのような認識は、上下の無い無重力空間に命綱なしで飛び出すような恐怖感を人に喚起させがちである。また、夢から目覚めるとは、その夢の中での最大の注目対象であり、夢のドラマの核である、この自我そのものを放棄することに感じられ、それは自我による大きな抵抗を得やすい。

多くの人はその恐怖感や抵抗感を越えることができず、霊的覚醒の手前でうろうろとして時間を過ごす。もしかしたら何生涯にも及ぶ長い時間を。

その、覚醒手前のうろうろとした場所こそがもっとも強く恐怖や不安や存在の無意味さを感じる場所である。

そこで感じる不安は実存的不安などと呼ばれている。

実存的不安に対しては三つのアプローチを取ることができる。

一つ目のアプローチは、目覚めに接近することで生じた実存的不安を忘れるために、目覚めから遠ざかり、深い眠りに逆戻りするというアプローチである。心を眠らせるためのアイテムやシステムはこの世界にあふれているので、それに課金することで、一時的に眠ったつもりになることは可能だ。だがそれは自分を欺くことであり、自分で自分を欺いているという自覚も心の中にあり続ける。だから、このアプローチを選択をした人は、見かけ上、眠りの中で安らぎを得たつもりでいても、心の中に深い違和感と焦りを持ち続ける。

二つ目のアプローチは、実存的不安の中にとどまり続けるというアプローチである。これは覚醒に近い場所に立ちとどまり続けることであるが、そこはもっとも不安や恐怖が強い場であるため、気力、体力の消耗は免れない。そんな場所に長時間、前にも後ろにも進めずに留まっていると、生活も荒廃しがちだ。よって、この二つ目のアプローチを採用するものは、再び退行して眠りの中に落ち込むか、それとも勇気を出して前に進むかの選択を、体力と気力の限界が来る前に下さざるを得ない。

というわけで、前に進み、霊的に覚醒するというのが、実存的不安に対処するための三つ目のアプローチであり、それは効果的なアプローチである。

実存的不安を本当に越えるには霊的に覚醒するより他はない。

それは自分の中にある、魂や霊、つまりソウルやスピリットの存在に気づくことである。しかしそれに一時的に気づき、一瞬、それに触れて霊感、すなわちインスピレーションを得ただけでは、ほとんど役に立たない。

魂、霊、そういったものの存在に気づいたあとは、そういった時間を超えた深遠なものと、この日常的な自分を、しっかりと、意識的に結びつけていく必要がある。そのための地道な作業をする必要がある。それは心の中の大規模土木工事に例えられる。

その工事が結果を出し、自分の中の高きものと低きものが生命の樹の中で一列に整列し、高い次元と低い次元の間に結びつきが生じ、そのコネクションが一定以上の強度に達したとき、実存的不安は自然に消滅していく。

そのコネクションを通して流れる愛や光といったエネルギーと情報が、自分の中にコールタールのように固くこびりついている多量の不安を溶かし、自分を優しく安心させていくからである。

その安心をもたらすエネルギーは目覚めた人の中に満ち、やがてそれはその人の周囲にまでも伝わってゆく。

そして、その透明で気持ちのいいエネルギーは、その人の周囲の人々が、楽にスムーズに目覚めることの手助けとなっていく。

やがて、別の人が目覚め、また別の人も目覚め、その人たちも愛と光を周囲に放射し始める。その影響で次々と新たな人が目覚めていく。そして光を発し始める。

光のハウリングにより、地球に光は満ちていく。その光により、目覚めることは日々、容易になっていく。

そしていつか、誰もが目覚めている日が来る。そのとき、誰もが喜びにあふれ、自分本来の生き方をしている。