昨日は世界イリュージョン仮説について書いた。

世界イリュージョン仮説とは、眼に映るものも、頭に思い浮かぶことも、全部、一時的な幻のようなものであるとする考えのことである。

この世界イリュージョン仮説という世界観には実用的な効果がある。その世界観を使うことで、さまざまなプラスの効果を得ることができるのだ。

たとえばリラックス効果や、さまざまな実用的アイデアを閃めくことができるという効果がある。あるいは「生きている実感が深まる」といった効果まである。

以下、世界イリュージョン仮説という世界観を利用して、そのようなプラスの効果を得るための方法を書いてみる。

人は常に身の回りの人間関係や仕事や家事やその他諸々の忙しいことで手一杯で、それに対処しているうちに時間が流れていってしまう。それはたぶん大事なものだから手を抜くわけにはいかない。

でも一瞬だけ、考えてみよう、それらすべてがもし幻だとしたら。

今自分が思っている不安や焦りや気がかりなことや、満たしたい欲望や、義務感や、そういった諸々も何もかも幻だとしたら。頭の中に流れる自分の思考もすべて幻だとしたら。

過去への後悔や未来への不安も全部幻だとしたら。

ニュースでやってる事件や、身の回りの人間関係の中にあるドラマの中にあるさまざまな感情の揺れ動きもすべて幻だとしたら。

そのように考えても、依然として目の前には実在感にあふれた三次元の映像があるかもしれない。その映像に包まれながら、それを生まれて初めて見るもののように見てみよう。生まれて初めてみるものだから、それが何だかよくわからない。

なんだかよくわからないその中で呼吸をしながら、一呼吸ごとに自分を忘れてみよう。そして何が何だかよくわからない状態に身を任せてみよう。

何が何だかよくわからない、この今の中に、好きなだけくつろいでみよう。

そして好きなときに、何が何だかわからない存在状態から抜け出し、また日常の中に戻っていこう。

そのとき、もしかしたら自分の中に、何か新しい活力が吹き込まれていることに気づくかもしれない。

また、何かのやりたいことやアイデアを、ふと閃くかもしれない。

それは、古い意味から解き放たれて意識を自由にした、自分の存在の自然な状態の中から湧いてきたアイデアである。

それを捉え、実行に移して表現していくたびに、人生は夢のように楽しくなり、生きている実感が深まっていく。

そして世界は一日ごとに色鮮やかになっていく。