ワンネス感覚とは、この自分が、宇宙の全て、存在の全てとつながっている感覚のことである。この感覚は、肉体的感覚や、感情や、思考を超えたところからやってくる。

ワンネス感がやってきた結果として、それは肉体的な感覚や、感情や思考という、日常的な人格の構成要素に強い影響を与える。ワンネス感覚の深まりとともに、人格には以下のような影響が生じる。

  • 自然な安心感が深まる。
  • 人生の自然な流れを感じ、それに乗れるようになる。
  • 物事の見かけを超えた深い意味が感じられるようになる。

その他いろいろ、ワンネス感覚を高めることによって、さまざまな変化が人格に生じる。面白いことに、人間関係という領域では、ボーダーラインというか、バウンダリーというか、つまり自他の境界を設定する力が強化される。

自分と全人類が一体であるというワンネス感覚が深まることによって、なぜか、自分と他者の間に、適切な壁や距離を設定する能力が高まるのである。

これは一見、不思議なことに思える。ワンネス感覚とは、身も心もドロドロに溶け合った、人類補完計画内でのメンヘル地獄のような状態のことではないのか? ワンネス感、それはむしろ、自他の間に適切な境界を設定するなどという大人ぶった態度とは真逆の、自己と他者が未分化な状態まで退行する、子供返りのようなことではなかったのか?

そんな疑問がどこかから聞こえてくるかのようである。その疑問への答えとして、とりあえず言えることとしては、とにかくワンネス状態は、自己と他者の間に、適切な境界を設定する力を強化するということである。

ワンネス感覚とは、自分がこの宇宙を構成する一部分であり、その一部分は全体と常に交流状態にあると気づくことである。

それは自分が、宇宙という有機的生物を構成するひとつの細胞であると同時に、その大きな有機的生物そのものであると気づくことである。

細胞がその生物の中で本来の働きをするためには、細胞壁によって他の細胞と隔てられている必要がある。壁によって隔てられているからこそ、その細胞は個性を持つことができ、その細胞としての役割を果たすことができる。

ワンネス感覚を得ることにより、宇宙という大きな有機的生物の目的や方向性を知ることができる。またその大きな目的に対して、この小さな一細胞としての自分がどういう役割を果たすのか、なんとなく感じられてくる。

このような多層的な視点を得るにつれて、いわゆるひとつの無条件の愛のようなものが自分の中に感じられ始める。それにより他人をコントロールして何かを得ようとするような傾向は減っていく。他人に認められることで自分を保とうとするような傾向は減っていく。

結果として、自然な、ちょうどいい感じが身の回りの人間関係に広がっていく。このようなことが、ワンネス感によって、自他の境界が適切に設定される仕組みの一端のようである。