前日の記事で、心の壁に穴を開けることで真の現実が見えるという内容の文章を書いた。

これは人類の中に古くからある発想で、要するに瞑想すれば悟るということである。

いわゆるグノーシス主義的な比喩表現では、この心の壁はアルコーンという人格的な悪い存在として描かれる。アルコーンは地球を取り巻く惑星を支配しており、地球の上に何重にもバリアーを貼り、地球人類の意識を地球の中に閉じ込めている。そういった感じのイメージである。

このようなグノーシス主義的な発想から見ると星占いは新たな意味を持ち始める。

それは太陽系の惑星を支配するアルコーンたちが、地球人類の意識に不法に課している制約である。月は人の意識を低い中二病意識に縛り付ける影響力を持っている。水星は人の意識を実態の伴わない論理性に縛り付ける力を持っている。金星は下降的な性愛に人の意識を縛り付ける。火星は人の意識を動物的、本能的な攻撃・闘争反応に縛り付ける、云々。

このようなアルコーンの幾重にも渡る透明な牢獄によって、人の意識は地球の重力の牢獄に囚われており、そのためにいつも自分の本性を忘れて眠っている。

そういった奴隷状態から抜け出すために、自分の本性、つまりグノーシスを思い出して、心を閉じ込める牢獄から脱出しようというのがグノーシス主義である。

瞑想して悟れという仏教的な発想とほとんど同じもののように思うが、その神話のテクスチャーの美しさには特筆すべきものがあり、私的にとても惹かれるものを感じる。

さてここで注意したいのは、ここで表現されている『脱出』すべき牢獄は、社会的な構造物ではないということだ。

社会的な構造物として現れているように見えることもあるかもしれないが、それはあくまで心の中にある牢獄が物理的に顕現したものであると考えられる。まず最初に心が、意識が、牢獄に囚われているのである。だからまず最初に、意識を牢獄から解き放たなくてはならない。

そんなわけで、結局は瞑想をすることになるわけである。あるいは瞑想と同様の効果を持った何かしらのワークをして、自分の心の中にある牢獄的構造、アルコーン的構造物を破壊していく作業をすることになるわけである。グノーシス、自分の本性に関する明晰な智識を手に入れるために。