「幸せ」になるには特定の条件を満たす必要があると思われていることが多い。

つまり目標を達成して何かのトロフィーを得たとき、始めて幸せになれるというような。

幸せを得るための条件に関する情報はこの世にあふれている。幸せを感じられていない者は、幸せを得るための地図を集めるつもりで、それら幸せの条件を集めまくる。これこれこれをしたら幸せになれるよ、という。

しかし本来、幸せとは、今このとき、いきなり、なんの条件もなく、そうなってしまうべきものである。

条件によって得られたり得られなかったりする幸せなどというものは、条件に依存する不安定なものであり、それはいずれひっくり返って幸せでない状態に移行することは目に見えている。

そのような幸せ状態は不幸せ状態と表裏一体のものであり、それはほぼ不幸せ状態そのものと言っても過言ではない。

そのようなシュレディンガーの猫的な、幸せと不幸せが同居した状態は「ネガティブハッピー状態」などと呼ばれている。

その状態は心に大きな苦しみをもたらすが、当然、その出口のないどんずまりの状態から抜け出すための方法は用意されている。

それは、今ここでいきなり幸せになることである。

今ここでいきなり幸せになることを望み、それを意図することによって、とにかくそうなってしまうことが可能である。

そのようにして、裏側にネガティブさの隠れていない無条件の幸せを、生活の刻一刻のプロセスの中、今ここで得ようとする試みがマインドフルネスというものである。

(と言っても本稿は何かしらのトロフィーを得ようとする活動を否定するものではない。目標を達成するプロセスの途中でも、幸せを得ることができるし、いつでも幸せでいようと意識して試みるべきである、ということだ)