2011年ぐらいのこと。実家の猫ちゃんが獣医により余命を宣告された。何をどうしても一ヶ月も持たないだろうとのことだった。

私は当時、いろんなヒーリング・テクニックを手当たり次第練習中だった。いろんなセミナーに行ってみたり、本を読んで覚えたり。さまざまな種類のテクニックを学んでいた。

そこでその年、夏に実家に帰省したとき、猫ちゃんの危篤を知った私は、そのころ本で読んでやりかたを覚えたばかりのヒーリング・テクニックを猫ちゃんにやってみることにしたのであった。

そのヒーリング・テクニックは『リコネクション』というヤツだった。

特にセミナーに行って本格的に学んだというわけではないが、本には、「これを読むだけでリコネクション周波数があなたのもとに伝わって、あなたもリコネクションができるようになるよ」と書いてあった。

また、簡単な練習方法も書いてあった。

事実、その本の読後、『リコネクション周波数』的なものが自分でも使えるような気がしてきた。

こう文章で書くと、何を訳のわからないことを書いているんだという感が自分でもあるが、とにかく、リコネクション周波数が、使える感じがしてきたのだ。リコネクションの入門書(下のリンクで紹介してるヤツ)を読んだだけで。

だが気のせいかもしれない。

私は身近にいた人間に頼み、リコネクションを練習させてもらうことにした。

「大丈夫か? なんか変なことになるんじゃないだろうな?」

「大丈夫、大丈夫。ここに寝て目を閉じてください」

訝りながら横になった被験者に、私はリコネクションを施した。

するとどうだろう。

なにかこう、とてつもなく、リコネクションが効いた! という手応えを得ることができた。

本に書いてある通りの、ヒーリング反応が被験者の上に現れた。白眼をむいたり、痙攣したりしてる。

リコネクションをしている私自身にも、これはヤバいだろ、物理法則はどうなっているんだ? という感じの、物理的なレベルの強い手応えが手に感じられた。

ビリビリした精妙な電流のようなものが俺の手を包んでいる! これがリコネクション周波数だというのか!

というわけで、リコネクションという技に好感を覚えた私は、夏、実家で死にかけている、可愛いロシアンブルーの猫ちゃんに、リコネクションをやってみたのであった。

ベッドで猫ちゃんが寝ているところに忍び寄り、その上で、猫ちゃんの目を覚まさないよう静かにリコネクションをする。

この技は、まったく手を触れずに行う、非接触型のヒーリングテクニックである。

痩せた猫ちゃんはまさか自分にリコネクションという技がかけられているとは思わず寝ている。

その猫ちゃんを、今、俺がリコネクトする!

猫ちゃんを、なんか、目に見えない、大きな何かに、リコネクション周波数を使って、リコネクト、すなわちネコネクトする! 

するとどうだろう。

ぴしっ、ぴしっ、と鋭いラップ音が天井から何度も響くとともに、猫ちゃんが白眼をむいて、ガクガクと痙攣し始めたではないか。

おいおい、大丈夫かこれ。

と内心でビビりつつも、何かがいい感じに効いている感がある。いいヒーリングをしてる時に感じる、聖なる感じ、何か聖なる存在が近くにいる感じを感じる。

そんな中、猫ちゃんの様々な部分が、何かにリコネクトされ、猫ちゃんの構成要素全体に、ほどよい調整がなされつつあるのを感じる。

その直感に身を任せて、私は即興演奏に身を委ねるジャズプレイヤーのように、リコネクションをその後十五分ぐらいノリノリで続けた。

やがてエネルギーが引いていき、リコネクション周波数の感覚が薄れていくつれ、ラップ音は収まり、猫ちゃんは痙攣するのをやめ、ベッドの上で安らかな呼吸を再開した。

「ふー。なんかいい感じにできたかも」達成感を得た私は、隣でその模様を見ていた友人に言った。

「猫ちゃんの反応、すごかったね。iPhoneで録画しておけばよかったね」とその友人。

「そうだね。そうかも。まあいいや」

私は猫ちゃんをひと撫ですると、ヒーリング気分を日常気分に切り替えて、部屋を出た。

猫ちゃんはその後、一年近くこの世に留まってくれた。

いやー、本当に可愛くて性格のいい猫だったな。

いつも嫌がらずに触らせてくれる、その滑らかな手触りが記憶に残っている。

ありがとう、猫ちゃん!

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これが私が読んだ本。現在絶版。

こちらは違う訳者によって、最近、再出版されたものです。元の本に比べ、内容はところどころ省略されていますが、とても読みやすくいい本です。