何かのアイデアを形にしようとするとき、問題はあとからあとから生じてくる。
常に付きまとう問題として、完璧な形が作れないというものがある。
どうしても形の細部に、おかしなところができてしまうのだ。
それは、アイデアを形にする際には避けて通れないものである。
アイデアとは抽象的でピュアなエネルギーだ。
それが目に見える形に展開されたとき、元のピュアなエネルギーと、具体的に構築された形態の間に、どうしてもギャップが生じざるを得ない。
だがそのギャップ、問題、歪みを完全に消滅させるには、無限のエネルギーと時間が必要となる。
だからどこかで妥協しなければならない。形を完璧に美しくすることは不可能だから。
過度に、形を美しく整えることに集中しすぎてはならない。
形とは、表現したい本質が、仮に宿る殻に過ぎないからだ。
それよりも自分が何を表現したいのか、その本質を正確に掴むことに力を向けるべきだ。そのために自分の内側に意識を何度も向ける必要がある。表現したい物事の本質は、そこにこそあるからだ。
そして、もし表現したいものの本質を自分の中で正確に掴むことができたら、それを表す形は、いずれ自然に見つかるはずだ。その形はやはり多くの部分に歪みを持っているかもしれない。だとしてもその形が、目的を果たすための能力、機能さえ持っていれば、完璧でなくともいいのである。
アイデアを目に見える形に表現すること、できるだけアイデアの本質から逸れずにそれを表現すること、それが形の目的である。その目的を果たすための機能を与えることが形を構築する際に大事なことであり、それ以外は二の次のことである。