皆さんは空手をご存知だろうか。

罪のない(あるいは罪のある)人間たちが手や足などを使い、互いの肉体を傷つけ合い、肉体や精神を鍛錬しようとする練習体系、それが空手である。

空手によって私は体脂肪率は十パーセント以下のまま、筋肉を十キロ近く増やすことに成功した。

筋肉量の増加に関しては、空手とは全く関係ないが、自宅で平行して行なっていたロシアンパワー・トレーニングが特に良く効いたという実感がある。

なかなか筋肉を増やせないでいた私は、この本に書かれているケトルベルという鉄球や、ゴムチューブを使ったトレーニングを自宅での筋トレに採用し、これこそが科学的な筋肉増量法であると思ってひたすら摂取していたプロテインやアミノ酸がどうのこうのという科学的な粉類を飲み食いするのをやめ、その代わりに大量のじゃがいもを食べ始めた。この大量のじゃがいもこそがロシアンパワーを養成するための秘訣であると、この本に書かれていたからである。

不思議なことに、プロテインを摂るのをやめ、じゃがいもをひたすら食べていると、それまでチビチビとしか増えなかった私の筋肉が、かつて無いレベルの速度で増え始めていくのが感じられた。なぜ炭水化物の塊に過ぎないじゃがいもで筋肉が増えるのか、それは謎というより他はない。

私は大量のじゃがいもを食べながら筋トレに熱中した。空手の試合にも出た。昔から抱えていた、『弱さ』に関する劣等感はスピーディに癒やされていった。

また、空手道場で、様々な動きを反復練習する中、私は自分の中の『反復練習』好きのDNAが目覚め始めるのを感じた。型通りの動きを繰り返すこと。そういった練習の中には、何か、無限へと接近していくような深みが感じられた。同じことをやっていても、昨日に比べて、何かが違う。昨日より、何かが深まっている。そういった、己の中の深さを広げていく方向性は、今まで、ありそうでなかった方向性だった。

それまで私は、外にある何かを取り入れて、それによって強くなろうと試みてきた。

どのようなものを外に求めるか、その傾向は人それぞれだ。その人のエゴのタイプによって、外に求めるものは、肉体的、物質的なものであったり、社会的なものであったり、思想的、情報的なものであったりする。しかしそれらはどれも自分の内にあるものではない、外的なものという意味においてはどれも同じだ。

それまで私は、大量の情報、大量の本、そういったものを取り入れて、強くなろうと試みてきた。その逆の方向性というものがあるのだった。

そのことを私は初めて体験として知った。それは内に向かう方向性だった。

しかもそれはただ内に向かうだけではなかった。システマティックな反復的行動によって、内側を持続的に、継続的に掘り進むという仕組みが存在した。その仕組みを使えば、持続的に、新たな発見を続けることが出来るのだった。そうすれば継続的に、自分の内側に、新たな自分を見つけ続けることが出来るのだった。

ところで、たとえば、自分探しや、何かの修行や、瞑想や、人生に変化を起こそうとするありとあらゆる試みが、うまくいかない原因は、主に二つある。それを以下に書く。

  • 自分の内側ではなく、自分の外側に、過度に何かを探そうとしてしまう傾向。変化を起こすべきは自分の内側であり、何か価値ある発見があるのは内側であるのに、外側に何かがあるはずだと思ってそちらを重点的に探してしまうこと。確かに外側にある何かが引き金となって、自分の内側に何かを見つけることはある。人との出会いや、様々な事物との接触が引き金になって、自分の中に変化が起きることは確かにあるが、それでも内側の探索には五十パーセント以上の力を割くべきである。そうしてこそ外部での実りある刺激や出会いが持続的に起こるようになっていく。
  • その掘り下げ、その探求を行うための継続的に機能するシステムが存在していないこと。何かしらの持続的な練習体系があって初めて、一つの方向へと掘り進んでいくことができる。なぜなら、何かを掘り進んでいくとき、方向がわからなくなり、どちらに進めばいいのか判断が不可能になる瞬間が常に訪れる。そのとき頼りになるシステムや練習体系があれば、望みの方向へと掘り抜いて行くことを迷わずに継続することができる。自分探しや、自分に変化を起こそうとする試みは、一度の気付き、一度の発見、そんなものでどうなるものでもない。何度も何度も繰り返し、気付き、発見し、何度も何度も、気づきを行動に移していくことを延々と繰り返していくことによって、自分を見つけることができ、人生に変化を起こすことができ、それを実生活に定着させていくことが出来るのである。それは長いトンネルを開通させる行為に似ている。その工事をサポートするためのシステムが、工事を行う者にとっては必要である。システムは、自分で組み上げるか、あるいは、他の誰かが組み上げたシステムを入手する必要がある。

前回の記事で書いた、『オナ禁』などというコンセプトと、それがもたらす日常生活への思考と行動のフレームワークも、自分に成長と変化を起こし、自分を再発見するためのシステムの一つであると言える。

ワクワクすることをしろというバシャールのインストラクションも、自分の人生を特定の方向に向け続けるためのシステムの一つである。

空手道もシステムのひとつであるなら、あるいはロシアンパワー養成法もまたシステムの一つであると言ってもいいかもしれない。

自分を変化させる、自分を深める、成長させる、そのための多様なシステムが存在しているのだ。

そのような心の成長、深化、変化、そのためのシステムこそが、これからの時代の最も価値あるコンテンツであり、他の人が作ったそれを受け取って実際に試してみることや、それを自分自身で組み上げることや、組み上げたシステムを人に与えることこそが、最高の娯楽であると私は思う。

本ブログではこのあとも様々な、心の成長のためのシステムを紹介していく。

また私自身もそのようなシステムを創造したいと思っている。なぜなら、すべてのは、どれもがあの輝かしい場所へと続いている、だとしても、そこに至るための道、コース、ポータルは、沢山あればあるほど良いからである。道が沢山あればあるほど、そこを歩くのは容易になり、それによってより密接に、『ゴール』と『今』は、そして『アルファ』と『オメガ』は、一つに接続されていくのである。