何か新しいものを作るには、アイデアが必要だ。アイデアは注文することによって得ることができる。何に対して注文するのかというと、ハイヤーセルフだ!

ハイヤーセルフという用語は、とてつもなく便利なものなので、どんどん使っていきたい。これを、「潜在意識」などという、より日常的な用語に置き換えることもできるが、そうしたときに、 多くの不明瞭さが呼び込まれることになる。

通常、「潜在意識」とは、自分の日常的な意識の範囲外にある意識を意味する。それは非常に解像度の荒い言葉であって、そのためにその用語の使用は多くの混乱をもたらしてきた。

意識には階層構造があり、それはものすごく単純に書けばこんな感じだ。

高い意識
日常の意識
低い意識

このうち、自分が明瞭に意識できているのは、真ん中にある意識、日常の意識のみである。それ以外は「潜在意識」ということになる。

よって「潜在意識」という言葉は、日常意識以外の二つの意識、「高い意識」「低い意識」を区別することなく同時に表す。

そのとき一つの言葉によって、「高い意識」「低い意識」というまったく性質の違う対象が表されることになる。これによって恐るべき「群盲象を撫でる現象」が生じる。

これはとてつもなく恐ろしい混乱であり、これによって多くの芸術家の命が失われて来た。昔の芸術家は、自分のインスピレーションの源が、漠然と、日常的な意識の外にある意識、つまり「無意識」的、「潜在意識」的な場所にあるということは理解していた。

しかし昔の多くの芸術家は、自分の無意識内、潜在意識内が、二つに分かれていることを知らなかった。自分の無意識が低い部分と
高い部分に分かれていることを理解していなかった。

そのため多くの芸術家は、新たなインスピレーションを得ようとして、自分の心の低い部分を活性化しようとした。すなわち、酒に溺れてみたり、破滅的な生活をしてみたりという行為をしてみたのである。

だが自分の意識の低い部分を刺激しても、インスピレーションは生まれない。なぜならインスピレーションは、自分の意識の高い部分
、すなわちハイヤーセルフからやってくるからである。

だがこの混乱に拍車をかける事実として、自分の日常的意識を停止させる、酒や感情的混乱、興奮によって、ハイヤーセルフとのチャンネルが一時的につながることも確かにあり得る。しかしそれは長期的に使うことのできるチャンネルではない。なぜならそのチャンネルを常用すればするほど、アイデアを生み出すために、自分の肉体と精神に負荷をかける必要性が生じるからである。またそのような試みは、自分の中の低い意識を継続的に刺激し、そこに力を与えることになるため、そのような方法でインスピレーションを得ようとするアーティストは早晩、精神のバランスを崩してしまうか、なんらかの種類の狂気に飲まれてしまうだろう。

よって、安定的に新しいアイデアを得るためには、自分の低い意識を刺激するのではなく、ただ直接、自分の意識をハイヤーセルフと繋げる必要がある。

そして、ハイヤーセルフに、欲しいアイデアを注文する。

そしてしばらく待つ。
待っている間、できれば頭は空っぽにしておいた方がいい。散歩、シャワーなど、意識に空白を作るような行動を行うことがベターである。

そしてそのような意識の空白を作りながらぼーっとしていると、あるときなんの前触れもなくアイデアが閃く。

閃いたアイデアは、メモに取るなり、なんなりして、形に残しておくことが好ましい。そしてそのアイデアが、実行を求めるものであれば、実行しておくことが望ましい。アイデアを小さなものでも形に表現することで、次のアイデアにつながっていくからである。大きな結果は即座に出すことはできない。小さなひらめき、それがどう大きなものにつながっていくのか、日常的な意識で把握することはできない。

しかしハイヤーセルフにはわかっている。それを信じて、目先のことしか理解することができないこの小さな自分としては、目の前に現れたアイデアを淡々と実行して形にしていくという作業を積み重ねていくことになる。

ハイヤーセルフへアイデアを注文する。
心を空白にしてアイデアを受信する。
受信したアイデアを表現、実行する。
それにより少し広くなった視野から、新たなアイデアを注文する。

このようなサイクルによって、新たなアイデアをこの世に効率的に表現、顕現させていくことができる。