感情とはなんだろうか。それは自分の人格を構成する三つの要素、感覚、感情、思考、のうちの一つである。これらが結びついて渾然一体となり人格を構成している。

このように人格を三つの構成要素に分けて考えるのは、自分の人格に変化を起こすために、そこに何かしらの働きかけをする際に役に立つ。

ぐしゃっとスパゲッティ状に絡まった複雑な『人格』というものを相手にするよりも、それをパーツごとに分けて、そのパーツ一つ一つにアプローチした方が、効率的にそれらに変化を起こすことができるからである。

このように人格を三つに区分けして考えることは、瞑想/ヒーリング的世界観では一般的なものであるが、他の分野においても、類似の分類が存在している。

たとえば脳は、本能/感覚を処理する脳幹、感情を処理する大脳辺縁系、思考を司る大脳新皮質に分けられるとする説がある。

またラカンの精神分析理論では、人間が体験する世界を、現実界、想像界、象徴界という三つの相に分けて考える。これは瞑想業界における、エーテル界、アストラル界、メンタル界という、意識の下位レイヤーの区分けに近い概念ではないかと思う。

このように、人格を構成する要素をとりあえず三つに分けて考えることは、さまざまな分野に見られる考え方である。また、その考え方には、『人格』という複雑な構造体に変化を起こすにあたり、実践的な有用性がある。

さて今回の失敗法則は、以下のものである。

失敗法則9『自分の感情に向き合わない』

上の方で説明したとおり、『自分の感情に向き合わない』とは、つまり自分の人格の構成要素のうち、三分の一の大きさを占めるものを無視するということである。

そんなことをしたら人格に問題が発生するのも頷ける。

だが感情に向き合うことはときに難しい。

感情に向き合う。その作業にはいくつかの困難がある。

一つ目の困難は、感情に向き合うことはときにとても苦しいということだ。感情に向き合うとは、つまり感情を体験するということである。その感情がネガティブなものであったとき、それを体験するのは苦しいにきまっている。そんな苦しみを味わうくらいなら、わざわざ向き合わずにスルーしようという方向性で、感情に対処する癖を持つのも当然である。

二つ目の問題は、感情というものの性質を全体的に理解するのは、極めて難しいということである。感情には様々な性質があり、その性質を理解することによって、感情を、適切に処理、昇華、増幅できるようになる。しかし、そのような理解を得るには、自分の中にある様々な感情を実際に体験し、それが持っている性質に習熟する必要がある。その習熟の過程は、スポーツのようなものであり、何かの理論を覚えて得られるものではなく、実際に主観的に、感情の動きを自分の中で、深く、継続的に体験することによってのみ得られる。それは実のところ、たいへんな仕事だ。

よって、『NHKにようこそ!』の佐藤君に対し、「自分の感情に向き合えよ!」と叱咤激励することは簡単であるが、その言葉は彼に対してなんの有効性も持たないことは想像に難くない。

何をどう言われようとも、彼は感情に向き合えない。

よって、失敗法則を反転させて成功法則を作ってみようという本シリーズではあるが、今回の成功法則は『感情に向き合う』ではない。

それよりももっと、ソフトな、誰にでも実行可能な、ふわっとした解決策を探ってみたい。

たとえば、NHKの佐藤君が抱えている感情的苦痛のうち、もっとも大きなものの一つとして『寂しさ』があげられる。

この寂しさという感情に、佐藤君はほんの一瞬だけ、向き合うことができたときもある。(原作九章)

しかしあまりに向き合うことが痛すぎて、すぐにその感情には蓋がされて、見えないところにしまわれてしまう。結果、その感情は癒やされることがないまま、心の奥の方、いわば心の押し入れの奥にしまわれてしまう。

だが苦痛の感情は常に押し入れの中に存在しているわけであり、それが存在し続けている限り、佐藤君は継続的に、謎の苦痛を感じ続けるわけである。可哀想に。

しかし佐藤君は心の押し入れを開けて、そこに眠っている恐ろしいものを処理する勇気はない。その作業はあまりに恐ろしすぎるし、そこに眠っているものは処理不可能なものであると感じるからである。

だから本項では、心の押し入れを開けることなく、その中にしまわれている苦痛の感情を癒やす方法を提示したい。

それは、押し入れの奥にしまわれている感情を、押し入れを開けることなく、非接触的に、癒やす方法だ。

イメージとしては、押し入れの外から、押し入れの中にある、今まさにドクドクと血を流している心の傷に対して、何かこう、ふわっとした、優しい、いやし効果のある、遠赤外線のようなものを送る感じだ。

遠赤外線であれば、押し入れの壁も難なく通過して、心の奥の、深い傷口にまで届くであろう。また、その傷を心地良い温度に温め、心のその部分が本来持っている自己修復能力を高めるはずだ。

そのような、心のどのような傷も癒やす力を持った、遠赤外線のような気持ちいいエネルギーを、という。

つまりこのというエネルギーを浴びることで、佐藤くんの寂しさや、その他もろもろの苦痛の感情は勝手に癒されるはずなのだ。

だが愛はどこにあるのだろう? どうすれば得られるのだろう?

『愛』については次項でより詳しく書く予定である。

とりあえず本項では、『身の回りに愛を探し、なんとかしてそれを浴びる』という対処法を、成功法則として提示したい。

成功法則9.『身の回りに愛を探し、なんとかしてそれを浴びる』

その気になればそこら辺を歩いている犬からも愛を得ることができる。

その気になればYouTubeの動物かわいい映像などからも愛を得ることが出来る。

夜の公園で浴びる星空の光の中にも愛はあるはずだ。

young woman with dog at beautiful night with huge moon above,illustration painting

また、愛は買うこともできる。

インターネットのとあるサイトで、500円で売っているこちらの製品には大量の愛のエネルギーが含まれている。

佐藤君にはどうかこれを聴いてもらいたい。

そうすればきっと、いい方向に変わっていくと思うから。。。

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