生活の中で生じる嫌な感情に対しては、ふた通りのアプローチがある。

「消化」と「抑圧」の二つだ。

字面から見るに「抑圧」の方は、明らかにやってはいけないことのように感じる。

しかし人は感情を抑圧してしまいがちである。

なぜならそうするように幼い頃から教わるからだ。教える方としても、それが最善であると思って教えているので、仕方がないことではある。

だが抑圧とは、感情を心の中の押入れに突っ込んで隠すことである。そのように心の奥に溜め込まれた感情が、いずれ瘴気を発するように問題を生み出すであろうことは想像に難くない。

よって、心の淀みを取り除き、クリアな心を保ち続けるには、感情を抑圧するのではなく、消化する方法を学ぶ必要がある。

一度、感情を消化する方法を学び、それを修得してしまえば、以後、どのような強烈な感情であっても完全消化することが可能となる。

それがどのようなネガティブな感情であっても。仮にそれが先祖七代に渡って続いているような深い怒りや憎しみであっても。

  • 怒り
  • 憎しみ
  • 嘆き
  • 悲しみ
  • 恨み
  • 後悔
  • 罪悪感

どれもこれも、ドライヤーの熱風を浴びて蒸発する水のように、あるいは春の日差しを浴びて溶ける雪のように、完全に溶かしきることができる。その技を習得したとき、人は心のエントロピー増大の法則を逆転させることができるようになる。そのとき人は永遠に若々しい心を保ち続けることができるようになる。

感情が癒やされ喜んでいる男のイメージ映像

感情が癒やされ喜んでいる男のイメージ映像。水は感情のシンボルである。

人は感情によって行動を制限されている。

そこから自由になろうとして、人は思考によって感情をコントロールしようとする。だが思考によって感情を消化することはできない。思考はただ、感情を隠し、抑圧することができるだけである。だから、思考能力が発達した人の心の中には、時に、思考能力が未発達な人よりも大量の、未消化の感情が淀んでいることがある。それは外部に投影され問題を作り出す。

自由を手にするための第一歩は、感情の消化能力を身につけることだ。

「どのような感情でも消化する力が自分の中にある」とわかった時の解放感は素晴らしいものである。

また、実際に、自分の中の未消化の感情を消化する作業を進めていくことによって、心がクリアに、晴れやかに、気持ちよくなっていくことを体験するのは、深い充実感のあることである。

感情を消化するための具体的な方法はいろいろあるが、その中でももっとも効率的なものが瞑想やヒーリングなどの、心の中で行う各種ワークである。感情とは心の中にあるものだ。だから、心の中での何かしらの作業を行うことによって、感情に対してダイレクトな作用を及ぼすことができる。

しかし繰り返すが、思考というツールでは、感情を消化することはできない。よくて感情の種類を、整理、分類することができるぐらいだ。

感情をダイレクトに効率よく消化するには、思考よりももう一段階、高位のツールを用いた心的作業、インナーワークを習得する必要がある。