ホ・オポノポノというメンタルテクニックがある。それを使うことで、あらゆる問題や、困難な人間関係は、スムーズに改善されていくと言われている。

やり方は簡単だ。心の中で、改善したい問題を思い浮かべながら、そのイメージや感覚に向かって、下記のスペルを唱えるだけだ。

・ありがとう

・愛しています

この際、必要なのは、何がどういう理屈で「ありがとう」なのか、「愛しています」なのか、まったく分析する必要はないということだ。機械的でいいので、上のスペルを淡々と唱えよう。

愛や感謝を無条件に発動させることが可能であるというその事実そのものが、心の中で絡まっている、感情と思考を解きほぐしていく。それによって、外部に存在しているかのように見える問題は、物理的レベルで良い方向へと変化していく。なぜなら外界というものは内的世界の鏡のようなものだからである。内的世界に発せられた、「愛」や「感謝」という光に満ちたフィーリングは、そこを速やかに癒していく。そしてその癒やしは外界へと反映されていく。詳しくはこの本をどうぞ。

だが光があれば闇があるように、ホ・オポノポノの影には、恐怖の逆ホ・オポノポノが存在していることを忘れてはならない。

逆ホ・オポノポノとは何か?

それは、それを実行することで、あらゆる状況や人間関係や精神状態を、スムーズに悪化させていくことができるという闇のメンタルテクニックである。

やり方は簡単だ。心の中で、悪化させたい状況や人間関係を思い浮かべながら、そのイメージや感覚に向かって以下の類の闇スペルを唱えるだけだ。

・最悪だ。

・もうダメだ。

・どうしてこんなことに。

・畜生。

・死ね。

・ダメだダメだダメだダメだ。

私は自慢ではないが、十代、二十代の頃は、この逆ホ・オポノポノのプロフェッショナルであった。頭の中で上記の闇スペルを無意識レベルで高速詠唱するのが得意だった。私の闇スペルの詠唱速度は、かのブラックロッドに匹敵するレベルだった。そのためか私の人生のあらゆる領域は急速に闇に包まれ、解決不能に思える問題によって覆われていった。

今どき、「自分の思考が自分の現実を作っている」ことなど社会の常識である。だから、わざわざ、「無駄な苦しみを味わいたくなければ、ネガティブな言葉や思考を自分の内外に撒き散らさない方がいい」などという、当たり前のアドヴァイスなど私はするつもりはない。

闇スペルを使用し、それによって自らの周りに闇のエネルギーフィールドを創造し、それによって闇っぽい人生を過ごすのもたまには悪くないライフスタイルであると思う。

そのような闇ライフスタイルに飽きたら、いつでも「ありがとう」や「愛しています」という光スペルを発し、それによって自分の周りに光のエネルギーフィールドを創造することで、光ライフスタイルへと自分の生活を切り替えていくことができる。

どちらを選ぶことも思いのままだ。だから好きな方を人は選べばいいと思う。

ただし、闇ライフスタイルには、自ずと限界が設定されている。なぜなら、人間の精神は、あまりに長時間、重い闇のクオリティ、すなわち苦痛、虚しさ、不安、恐怖に耐えることができないからだ。

だから闇の追求はどこかで終わらざるをえない。

反面、光ライフスタイルは無限に向上、進化させていくことができる。なぜなら愛や楽しさや喜びといった、光方面の性質は、どこまでもどこまでも高め、それを享受することが可能だからだ。

それゆえに、どのような逆ホ・オポノポノマスターも、いずれは闇ライフスタイルの創造に飽きて、光ライフスタイルの創造へと転向する地点がやってくる。

そして、闇スペルを唱えるのをやめて、通常の、光のホ・オポノポノ的スペル、すなわち「愛しています」や「ありがとう」などという優しい言葉を、心の内外に向かって詠唱する日がやってくる。それによって闇のホ・オポノポノマスターは、自分の世界の闇が晴れ、光に包まれていくことを体験する。そしていずれ、とてつもない重さを抱えた闇のマスターであっても、誰もが皆、その重荷を手放して、光のマスターへと進化していくのだ。