今日は創造力を伸ばすために「自分を広げる」ということについて考えてみる。

自分を広げるための行動としてすぐ思い浮かぶものとして、情報を摂取するということである。たくさん本を読んでみたり。

だが長年の私の独自調査によると、本を読み過ぎたがために自分が狭まっていくということがありうる。

本には特定のアイデア、特定の世界観が表現されている。それぞれのアイデアは似たようなアイデアを集め、強める力を持っている。

よって、似たようなアイデア、似たような世界観が表現されている本をひたすら集め、そのアイデアの影響力を自分の中で強め続けるというループ的行動をしてしまうことがある。その結果、自分を広げるつもりが、逆に自分を特定の世界観の中に押し込め、縛り付けるような思考回路を強化してしまうことになる。

そのようにして長い時間をかけて強化された思考回路は、自分の存在と同一化しているように感じられるため、そのような思考回路の存在は自分にとって不可視化、無意識化されていて、そのようなものが自分の意識を狭めているとはなかなか気づくことはできない。

ここで、本当の意味で自分を広げるためには、自分の意識を狭い世界観の中に束縛している思考回路に穴を開けるような情報を摂取することが効果的である。

だが、あらゆる思考回路には自己保存機能があって、それは自らの存在の根拠をあやうくするような情報の流入を阻むような働きを持っている。人は自らがその中に縛り付けられている思考回路を脅かされるような情報に接したとき、必ずその情報や、その発信者に対して感情的に抵抗する。

つまり自分が無意識的に持っている世界観を脅かす情報に接したとき、人は条件反射的に、怒りや嫌悪感や不信感を抱き、その情報が自分の中に入って来ることを防ごうとする動きを見せる。

このような、思考回路の自己防衛反応があるために、人はなかなか、本当の意味で自分を広げることができない。むしろ、自分を広げるつもりで、既存の古い世界観を強化し、自分をその中に閉じ込めるような情報を好んで摂取しがちである。

そしてその世界観の中で人はがんじがらめになって、硬直化していく。そのような硬直化した思考は若者の反発を得るが、若者だって一瞬でその思考を硬直化させ、すぐに精神的に老人になる。

このようなありがちなパターンに反して、自らの思考回路をみずみずしく保ち、歳とともに硬直化していくのではなく、むしろ思考回路を常に新しくアップデートして、自分を真の意味で広げ、拡張しいくためにはどうしたらいいのか?

なにより大切なのは意図することである。自分を真の意味で広げ続けることを望む、と。

十分に強い意図があれば、自分の思考回路は、少しずつその意図に基づいたものにアップデートされ、再構築されていく。その過程で古い思考回路はもろくなったタイルのように剝げ落ちていき、その代わりに新たなみずみずしい思考回路がどこからか適切なペースでやってきてあなたにインストールされていく。そして新たな創造力が目覚め始める。